香港の混乱拡大の恐れ、発砲動画拡散で-12日も交通妨害計画
Iain Marlow-
香港大学は12日休校、教員組合が休校呼び掛け
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警官がデモ参加者に至近距離から発砲した動画が拡散
香港で11日、道路の障害物を撤去しようとしていた交通警察官がデモ参加者ともみ合う中で、参加者の1人の腹部に至近距離から発砲、撃たれた男性は重体となった。この動画がソーシャルメディアですぐに拡散し、8日に大学生が死亡したことで湧き起こっていた警察への批判が一段と強まった。
抗議活動家らはこの事件を契機に抗議活動へのさらなる結集を図っており、ソーシャルメディアで拳銃の画像を配したチラシを拡散したほか、12日朝の通勤時の交通妨害を呼び掛けた。香港大学は12日を休校とした。また教員組合はフェイスブックに掲載した声明で、学校と幼稚園を休校・休園とするよう求めた。
その直後には、白バイに乗った警察官が、避けようとする抗議活動家のグループに何度も突っ込み、活動家の何人かが衝突される様子が映像にとらえられた。香港警察はこの警察官を停職処分にしたとしている。
11日は、6月に抗議活動が始まって以来、最も激しい暴力が吹き荒れた日の一つとなった。繁華街の機能はまひし、交通網は分断され、男性2人が重体となった。
8日に死者が出たことに怒りが収まらないデモ参加者は11日朝、通勤・通学の妨害に動き、この日の混乱が始まった。
警官の発砲事件を受けて抗議活動家は香港の主要ショッピング地区の一つである中環での「フラッシュモブ」的な集会を呼び掛け、警察は催涙ガスを使って排除に当たった。
ほぼ同じ時間に、ガソリンをかけられ火を付けられた男性の動画も流れた。中国紙、環球時報の胡錫進編集長は、男性が「過激な抗議参加者と口論していた」とコメント。病院当局によると、この男性は重篤な状態にあり、そのほか約50人が負傷しているという。
衝撃的な動画は香港情勢がさらに悪化するとの懸念を引き起こした。11日の香港株は約3カ月で最大の下落。一部の銀行は営業時間を短縮した。
香港政府は11日午後の声明で、「冷静かつ理性的」になるよう呼び掛けた。林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官は同日の記者会見で、暴力によって目的を達することはできないと抗議活動家らに警告。警察の行動についての独立調査や普通選挙権を求める要求に対して「それは実現しないとここで明言する」と述べ、「優先課題は暴力を終わらせ香港を正常に戻すことだ」と表明した。
警察は発砲した警官を擁護。銃器を「任意に」使用するよう警察当局が命じたというインターネット上のうわさについては、「全くの虚偽で悪意に基づいている」と退けた。
原題:The Hong Kong Police Gunshot That Unleashed a Day of Mayhem
Hong Kong Violence Escalates With Bullets, Tear Gas, Man on Fire(抜粋)